書籍・雑誌

雲の墓標 阿川弘之

Yahooのニュースで作家の阿川弘之氏が亡くなったと知った。
戦後の作家であることは知っているが、今では「阿川佐和子氏の父親」ぐらいの印象しかなかった。
その後、夏休みに実家に帰ってからのこと、本棚に私が高校・大学生の時代に買った文庫本の小説が 10冊ほどあったので持ち帰ってきた。その中の一冊に「雲の墓標」があった。 おそらく大学時代であろう、「雲の墓標」を買った理由は、というと受験勉強から解放されて小説をたくさん読むぞ、 という気持ちで書店で新潮文庫のコーナーに行き、たまたま五十音順の先頭にあった阿川弘之を手にしただけである。 気持ち的には、この本棚をかたっぱしからすべて読むぞ、という気持ちだったのである。

二十年以上ぶり二回目の「雲の墓標」との出会い、第二次世界大戦末期に特攻隊員となる学生兵の日記である。
一回読んでの記憶はほとんど残っていなかったのだが、一部学友の死に方の描写だけは印象強く、記憶されていて どのページにそのシーンが出てくるのか、心にひっかかりながらの読書ではあった。
学生兵から見た戦時下の自分の運命との向き合い方、学友戦友、海軍、日本への心理、迷いながらも比較的従順な 一若者の異常な世界への適応力が読み取れる。 また、最初は緩やかに巻き込まれ、よい食事にもありつけ、外出もほどよくできる軟禁状態からいつしか 最前線に巻き込まれていく様子も読み取れる。
現在、戦争が始まったとしても自分も含め、お国のために、という発想には到底なりえないのであるが、 ただ、最初は後方支援、安全な事務の仕事だから、と巻き込まれ、いつしか前線に連れ出される危険性を 知っておくべきである。 グローバルに大きく考えろ、という風潮はあるが、戦う相手はいつも外国ではなく日本の中だろう。

7つの習慣

2013年、「7つの習慣」がリバイバルヒットした。
私も一冊所有している。
1996年12月に書版発行、私が持っているのは1998年7月の初版第38刷
15年以上前だ。
タスキには著者スティーブン・コヴィー氏の写真とともに1200万部突破!!
のコピー、当時のことはあまり記憶にないが、そうとうなベストセラーだったのだろう。サラリーマンで独身だった自分が購入していたのである。

私の過去と照らし合わせると1999年3月、結婚して半年で最初の会社を辞めて転職しているので、確かにこのころから、仕事としては違うことをしたい、成功への渇望みたいなものはあったと思う。

その後、2つめの会社を退職して起業、所有している本については、不要かな、と思えるものは処分してきた。
その中でも「7つの習慣」はなんとなく残してきた。
一回どおりは読んだ。内容は濃いがページ数も多く難しい、というような解釈だったと思うが、いつかもう一度読まなければならないとは感じていたのだろう。

2013年リバイバルヒットを機に15年ぶりに読んでみた。
すばらしい内容、今の自分なら理解できる。
「7つの習慣」のサブタイトル「成功には原則があった!」
成功の原則が大きく7つの構成で書かれている。
2014年2月現在、さらに繰り返し読んでいる。
書かれていることについてマスターするまでは、いつも手元に、何度も読む本になりそうだ。

永遠のゼロ~最終ラウンド怒涛の打ち合いで決着する中身の濃い長編小説

ベストセラーとして書店では販売1位、フェイスブック上でもよかったの声が多い本書。

戦中の日本製軍機零戦とパイロット、特攻隊員として搭乗した名もなき若者たちを主人公を通しているが、内容については、本書最後の解説で今は亡き児玉清さんが書かれている。
戦中ものをドキュメンタリーにしろ、テレビ番組にしろ、今までほとんど触れずに来た自分にとっては初めてしっかりと胸に刻んだ作品だったと思う。

内容はさておき構成について、実は個人的には回想をつないでいく作品はあまり好きではない。作品のバランスとして見た時に回想シーンがあまりにも長いものが多いのだ。
かの松本清張をして、推理ものの最後の謎解き部分ではどうしても文学性は失われると
言っているし、夏目漱石の「こころ」の最後の長文の手紙はあり得ない、と思っている。

本書も戦中を知る人達へのインタビュー部分は長い、ゆえにドキュメンタリーなのか小説なのかがわからなくなる部分もある、文学作品の比重を100%にもっていった場合は、インタビュー記述はもっと簡潔であった方がうれしい。この本も300ページになっただろう。

しかしドキュメンタリーとして内容の濃いものとして読み進めた後、最後に小説回帰、11ラウンドまでは緊張感のある目の離せない展開、最終ラウンドに怒涛のパンチ連打がさく裂する、という感じだろうか。
つい先日、2013年3月10日WBC日本対台湾の国際野球試合のような展開だった。

日本の社会戦略 世界の主役であり続けるために 稲盛和夫 堺屋太一著

堺屋太一氏が提唱する「貢献面産業分類」
人類にどのような面で貢献しているかを分類したもの。
自身の仕事が何で人類に貢献しているのか考えてみると、自分のポジションが明らかになり、やる気がわいてくるかもしれません。
私の場合は3.4を中心に1.2.も支援する仕事をやっています。

1.物財を提供する物財産業
  農業、鉱業、製造業、建設業

2.物財の位置を変える産業
  運輸業 流通業
  物財の権利関係を変える
  金融業 賃貸業

3.時間に貢献する産業
  消費者のもってる時間をより楽しく有意義にする
  映画 テレビ レジャー 医療・健康産業 苦痛な時間を取り除く代理業 保険業

4.知識や情報を提供する知識産業
  教育 情報産業 デザイン創造

実行力100%の会社をつくる!

NHKプロフェッショナルでも店舗再生のプロとして紹介された大久保恒夫氏の著書。
成城石井、ユニクロ、無印良品などの改善に成功しています。

私の会社はいわゆるB to B、企業間取引の会社ではありますが、一番シビアな経営環境で戦っている一般の消費者を相手にした飲食店や流通業をお手本にしています。
常に自分の会社が飲食店だったらどうするか、という観点でも自社を見ています。

著者がいう、利益を出している店舗とそうでない店舗の差は「マネジメント力の差である」
といいます。上司から店舗のスタッフ一人一人に至るまできちんと意志疎通ができていること、です。

一消費者として、マネジメント力を感じるできごとがありました。
2012年5月に観測された「金環日食」のブームで太陽を見るメガネを購入いした時のこと、
あるお店で199円で売られているのを見て、レジにもっていったところ299円だといいます。
「199円じゃないの?」と聞いたら299円だというので、その場で納得して購入しました。
その後、別の大手店舗で同じ商品を見たところ、199円でした。

そこで、購入したお店に電話して「やはり199円の間違いではないですか?」と
問い合わせたところ、男性マネージャーが出て「299円なのですが、店頭の値札が199円になっていました。お金をお返ししましょうか?」と言われたました。

・一応レジで299円で納得して買った上で実際も299円だったこと
・100円返金のためにわざわざ行くのも大変
・店内で情報が錯そうしている状況で、おつりを返してもらいに来ました、と行っても情報が伝わっていなくて、結局待たされたりたらい回しにされる確率が高い

最後の理由が決定的なのですが、売り場で混乱していると、バックヤードも混乱していることは当然だと思います。

著者も、良い会社は訪ねていったら、「お待ちしておりました」とスムーズに通される、
そうでない会社では、受付で問い合わせするなどで待たされることが多いといいます。

良い会社=実行力100%の会社にするための考え方とノウハウがとても参考になりました。

田原総一朗著 再生日本

著名なジャーナリストだけに首相レベルでも直接取材できる。
これが田原氏の現場主義になるのかもしれないが、政府首脳は常に現場から遠い位置にあるので現場を知らない政治家がどうかけひきするかという話。

本のたすきに書かれているような日本生き残りのためのロードマップでは決してない。
環境、経済、教育、官僚問題について、国家レベル、政治家レベルでどう考えているか、ということが書かれているが、わかったことは、どうしようもない状況になるまで物事は決して変わらない、ということ。

私の意見として様々な問題に対処するには国家というレベルはあまりに大きすぎると思う。だから地方分権。地域のレベルで成功モデル、失敗モデルの結果を出し競争と横展開を図ることだと思う。

新鮮だったのが環境、教育問題において安倍晋三元首相の貢献を高くかっていたこと、それに伴いとにかくバッシングで注目を引こうとするマスメディアではその中での良い成果はまったく無視してしまうということ。

震災後はほとんど菅首相批判一色だが、実は成果も数多くあるはず。こんな非常事態時に進んで首相をしたい人などいないだろうし、誰がやっても批判されることを考えると投げ出さず、よくやっていると私は菅首相を評価している。

FREE フリー

FREE読みました。
購入してから寝かしたまま約2年、ようやく読み終えた。

Googleなどに代表されるネットサービスやFacebook,Twitterやブログ、すべて無料で使用できる。データ蓄積のハードディスク、演算処理装置の倍数的な能力の向上と限りなく無料に近づくコストがもたらす潤沢さのおかげで無料を享受できる。
ユーザーの中の一部の有料会員から料金を徴収することで成立するサービス、何千万人と使用されているのに、今だ採算ベースに乗らないサービス。
これから新しいサービスを立ち上げようという者は誰からお金をもらいビジネスとして維持していくのか?

オリジナルコンテンツを世に出したい私としても大変興味深い内容だ。
何度も読み直す中で様々なヒントにさらに気付くことがあるかもしれないが、一読した現段階では、まずは無料で立ち上げる、集客をする、そこからビジネス化を考える、そのようにとらえた。行き当たりばったりの中にもある程度の狙いはもってスタートしなければならない。
しかし、いつ収益化できるかわからないサービスに乗り出しそして続ける、これはもう個人の趣味か執着以外では不可能である。2~3年で利益を出さなければ撤退という大企業の論理ではそもそもスタートもできない。
ベンチャーにチャンスがある分野である。しかし小企業であるほど日銭稼ぎは苦しい、日銭稼ぎと同時並行で内職をしいつかブレークを夢見て続けるか、背水の陣でベンチャービジネスにかけるか、いやいや後者は大きなリスクをともなう。

宮島は駅物語という映像コンテンツを無料でみなさんに発信し続けます、いや今はストップしているのでなんとかできるようにがんばります。
そのために自宅近くに事務所を移転したのだから。

しかしこの「フリー」。前評判は非常に高かったがおそらく買って読んでいない人、または途中で読むのを辞めた人も多いと思う。結局つかみどころのない現代のビジネスについて書いているだけに本書の内容もつかみどころがない、いやつかみどころを探すのは難しい。
しかし、普段から「価格」「料金」を中心とした経済学に興味津々の私としては何とか自分のものにしたいと思っている。自分はこの中身が理解できる数少ない一人である(はず)と内心しめしめと思っている。

とらぬ狸の皮算用をして失敗し、棚からぼたもち、これがフリーを使った一つの成功モデルだろう。

フラット化する社会(下)・トーマス・フリードマン

これを読めば、世界経済の流れが地域発展とともに理解できる。
今後、どの地域が発展していくのか、発展する条件など大きな流れがつかめる。
日本の立ち位置や、一人一人がフラット化する社会の中でどのような生き方をすれば良いポジションでいられるかのヒントもたくさん書かれている。

一番印象に残っていることとして、マクドナルドの理論、デルの理論というのが独自理論として紹介されていることがあげられる。
マクドナルドが進出している国は自ら戦争を起こすことはない、さらに発展してデルのサプライチェーン、部品供給や製造に関わっている国は戦争を始めることはない。
それは、グローバル規模の企業、ここではデルが投資、または取引をすることにより、経済の発展を享受してきた国が、戦争を始めてしまうと今までに遂げてきた経済発展を一瞬にして失ってしまい、二度と元に戻ることはない、というリスクをその国の経済界が理解しており、政治にストップをかけることが起こるからだという。
(もちろんデルとの取引だけではない、デルのサプライチェーンに組み込まれるということはそれ以外の国際的な取引もおおいに発展している状態と考えられる)

つまりリスクのある国には投資しない、取引しないという事実である。

テロ頻発、政情不安定のアラブ地域、アフリカ地域が発展していない理由がそこにある。
いざわが国日本を見てみると、戦争を起こすリスクは限りなくゼロに近いとはいえ、今直面しているのが自然災害による供給ストップのリスクがあり、これは非常に深刻である。

数十年に一度は大地震が来る可能性が大きく、その度に部品供給がストップし製造が停止してしまうリスク、莫大な費用、長い年月をかけた設備投資などが一瞬で崩壊してししまうリスク、おそらく多くの外資系企業が、日本は危険すぎるので撤退する、部品の購入先を変更したい、取引中止をしないが、他国でも製造するなどリスクの分散をはかってくれという要望など実際起こっていることが十分考えられる。
自然災害が起こることは防ぎようがない、日本が他国から無視されないためにもいかに被害を最小にくいとめるか、いざ災害がおこったときにどのように短時間でリカバリーできるか、ここを考えておかなければならない。

書評ではなく今回はエッセー 「運慶 松本清張」

松本清張全集 約620ページ、「黒い福音」「点と線」「真贋の森」「黒地の絵」「証言」「逃亡」「運慶」全7編が入ってお値段は何と390円!
なぜかというとこれ昭和38年に刊行された本だからです。

一昨年帰省した際に2000年に91歳で亡くなった祖父の部屋に入った。
部屋の主はいないが、書斎の文具や本はそのまま残されていた。
大半は趣味の天文関係の本だったが、この全集が目につきいただいてきた。

祖父が1975年に古本屋で250円で買った本らしい。それは筆まめな祖父が本に書き込みをしていたことから明らかだった。(ちなみに2011年4月現在Amazonでは470円~)

それはさておき、超有名な「点と線」をはじめ、大作サスペンス小説といってよい「黒い福音」など読み応えある作品ばかりだったが、自分の思いいれとしては最後に収められている短編小説「運慶」である。
この作品と実に22年の月日を経て念願の読破に到った(めっちゃ大げさな)。

この作品の最初の出会いは受験生だった18歳にさかのぼる。受験参考書の現代国語の
問題としてその文章の一部が収録されていた。
受験勉強だけに合格することだけが目的になるが、受験勉強も終盤になると英語そのものや文学そのものへの探究心が出てくる。しかしそれを抑えて受験勉強用の勉強をする。問題を解きながら、この作品ぜひ全編読みたい!と強烈な印象を残した。

実際短編で30分もあれば読み終えてしまえた訳だし、入手しようと思えば本屋さんに
いけばいつでも入手できる作品、その頃の思いは大学合格と同時にすっかり忘れさられていた。さらに言えば、読んだ時にどの部分が問題として引用されていたかはまったく憶えていなかった。
高校生の当時の松本清張のイメージは「点と線」が鉄道を舞台に時刻表のトリックを使った話で西村京太郎の師匠か、ぐらいな印象を持っていて、運慶のような鎌倉の仏像彫刻の大家を題材にしたような歴史小説も書く人だとは思っていなかった。

本作品の内容については書かないが、松本清張は昭和30~40年代の流行作家となっていたが、文学好きな玄人にも好まれていたようである。その文章は難しくないが、心理描写、情景描写が的確で、様々な分野への見識が広い。自然に作品の世界に引き込まれ、文学的にもハイレベルな表現で流れる。
やはり一時代を築いた大家は人気もあり、実力もあるのである。
何はともあれ、私としては22年越しの念願をかなえ、少しすっきりした気分である。

富の未来(下)アルビン・トフラー

上巻に続き下巻を読んだ。上巻ほどのインパクトはない、というのはここまで読んで、トフラーの言う理論がだいぶん理解できてきたからかもしれない。

第一の波・農業など、第二の波・工業化、第三の波・知識労働
今は二から三への移行期。
これは農業や製造業がなくなるという意味ではない。農業でも製造業でも知識労働、つまり頭を使って仕事をしなければ富を得ることはできない。

従来までの雇用制度、労働組合なども第二時代の構造であり、第三の時代にはそぐわない。
次第に時間給ではなくFAで知識労働を売る時代に。
確かに仕事さえ進めば、在宅労働でも遠隔地へ仕事を発注してもよいと思う。
実際、宅配便に集荷をお願いするとおそらく沖縄に電話がかかっていると思う。
いかにも沖縄的な名前の方が対応してくれる。
ただ人間なので、Face to Faceじゃないとうまくコミュニケーションできないことも多いのだが。

このようなことを理解して自分の考え方としたい。
ただし人は同じように考えない、旧態依然で変化のスピードは遅い。
それをわかった上で自分が動けるところは動く、様子見のところは時期が来るまで様子見する。

フラット化する世界と合わせて読めば、未来が見えてくる。

2015年8月
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