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2015年8月

雲の墓標 阿川弘之

Yahooのニュースで作家の阿川弘之氏が亡くなったと知った。
戦後の作家であることは知っているが、今では「阿川佐和子氏の父親」ぐらいの印象しかなかった。
その後、夏休みに実家に帰ってからのこと、本棚に私が高校・大学生の時代に買った文庫本の小説が 10冊ほどあったので持ち帰ってきた。その中の一冊に「雲の墓標」があった。 おそらく大学時代であろう、「雲の墓標」を買った理由は、というと受験勉強から解放されて小説をたくさん読むぞ、 という気持ちで書店で新潮文庫のコーナーに行き、たまたま五十音順の先頭にあった阿川弘之を手にしただけである。 気持ち的には、この本棚をかたっぱしからすべて読むぞ、という気持ちだったのである。

二十年以上ぶり二回目の「雲の墓標」との出会い、第二次世界大戦末期に特攻隊員となる学生兵の日記である。
一回読んでの記憶はほとんど残っていなかったのだが、一部学友の死に方の描写だけは印象強く、記憶されていて どのページにそのシーンが出てくるのか、心にひっかかりながらの読書ではあった。
学生兵から見た戦時下の自分の運命との向き合い方、学友戦友、海軍、日本への心理、迷いながらも比較的従順な 一若者の異常な世界への適応力が読み取れる。 また、最初は緩やかに巻き込まれ、よい食事にもありつけ、外出もほどよくできる軟禁状態からいつしか 最前線に巻き込まれていく様子も読み取れる。
現在、戦争が始まったとしても自分も含め、お国のために、という発想には到底なりえないのであるが、 ただ、最初は後方支援、安全な事務の仕事だから、と巻き込まれ、いつしか前線に連れ出される危険性を 知っておくべきである。 グローバルに大きく考えろ、という風潮はあるが、戦う相手はいつも外国ではなく日本の中だろう。

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